LINK Vol.8
2003.5.24 (sat)
Ebisu Guilty
LIVE
■MIU(茂木ミユキ)supported by 上領亘
■soyuz project ■VOMOS ■CUBLIC. ■QUENA(Digitalized 3rd Eye)
PERFORM
■shady ears
VJ
■Ueda Naoki ■山口淳二 ■O3channel ■CYCLE ■R-A
DJ
■R-A
2003.5.24 ORGANIZERのひとこと

LINKvol.8は、オーガナイザーにとって久しぶりに手ごたえと充実感あふれるイベントとなった。イベントは、当日起こる様々な事象が絡み合って、うまくいったり、失敗したりする。またそこが面白いわけなんですが、今回はいい感じで全ての事象が絡み合ってくれた気がしました。 次回は2周年です…最高のイベントに…しちゃいたいです。がんばりマッス。


LINK Vol.8 EVENT REPORT

今回で早くも8回目を迎えるLINK。会場は前回に引き続き恵比寿Guiltyでの開催となった。前回も、ステージとフロアを絶妙に生かした空間づくりを見せてくれたが、はたして今日はどんな演出でオーディエンスの五感を刺激してくれるのだろうか? そして、今回はあの「上領亘」氏がついにLINKのステージに立つとのことで、これはかなり期待してしまいそうだ。会場入り口前には、早くから並ぶお客さんの姿も見え、開場する前からなんとなくワクワクした雰囲気が漂っているように感じられた。

オープンして会場に入ると、すでにかなりの人がフロアを埋めている。ステージには天井からモニターが吊るされ、以前より視覚的なバランスもよくなったし、とても空間的な広がりを感じるようになった。それにしても、毎回かならず進化していくLINKのシステムには脱帽してしまう。空間性を考えた映像演出は圧倒的でありながら、音と映像、そして空間がリンクしたときに生まれる心地よさを肌で感じさせてくれる。

LIVE:QUENA / Visual Effect:R-A

まだ少しざわついているフロアの空気を鎮めるようにステージに現れたのは、鮮やかな貴緑色のウィッグに着物姿のQUENA。 アンビエンス溢れる、少しマニアックな響きをたたえた楽曲に、どこかアジア的な匂いのする艶やかなヴォーカルが絡み、上質なアンビエントサウンドが会場に浸透していく。繊細でありながら力強い歌声はまるで、たった1人でステージに立っていても確固たる存在感を放っているQUENAそのもののようだ。

時間的には短いものだったが、密度の濃い内容にすっかり引き込まれてしまった。いつもなら、ビートの効いたサウンドで一気にオーディエンスを引き付けるようなスタートを切るのが普通だったLINK。また違った切り口での始まり方はとても新鮮だった。この意外性をまったく奇異に感じさせないのも、オーガナイズとアーティストの個性の醸し出す妙というものだろうか?
LIVE:CUBLIC. / VJ:CYCLE

次は久々の登場、CUBLIC.。ここからが盛り上がりどころ。今回はsugiyoshiと、サポートメンバーとしてMONAKAの田口真行の2人という編成。機材の前でちょっとクールめにVoをとるsugiyoshiに対して、ゲームコントローラーでエフェクトを操っている田口氏のノリノリな姿が印象的だった。どういう仕組みになっているのやら分からないが、思わず「面白そう!」と思ってしまった人も沢山いたのでは? 今回はメンバーが両脇にいるので、いつもの弾けたノリに比べて落ち着いた印象になってしまっていたが、その分よりサウンドを重視したライブになっていた。

VJ.CYCLEの映像も、華やかさとキラキラ感はもちろん健在だが、少しサイケデリックな感じも混じって、かなりビートを意識させるものだったと思う。なかなかオリジナルメンバーの揃うところが見られないCUBLIC.だが、毎回違ったアプローチで魅せてくれるので、毎回、次はなんだろう?と期待させられてしまう。なによりどんな編成でも、たちどころにオーディエンスの意識を掴んでしまうのがすごい!ラストはLINKのコンピCDにも収録されている名曲、「Ginger Ginger」で締めくくられた。
LIVE:VOMOS / VJ:O3Channel

そしてまだ「Ginger Ginger」が流れている内に、次のVOMOSが登場し、そのまま転換時間なしでVOMOSのライブに突入…そのあまりのスムーズさに吃驚してしまった人も多いのでは? 上がったテンションそのままに、途切れなく次のステージを楽しむことができるなんて、ライブイベントではかなり画期的なのではないだろうか。 今回はサポートに、音信不通の上野氏に代わり(どこへ行ってしまったの〜?)登場2回目となるCold+SleepのSENを迎えてのステージ。彼のアグレッシヴな動きに煽られて、会場も一層盛り上がってゆく。VOMOSは毎回LINKに合わせて新曲を用意してくるようだが、今回は久々に歌モノがお目見え。重厚なビートのトランスサウンドに絶妙にヴォーカルがのり、緻密でコアな創りなのに印象はとてもPOP。全体的に歌の要素が少し増え、より多くのリスナーへと開かれたライブになってきたのではないだろうか。前にも増して外向きのベクトルが光のように放たれているのを感じる。

O3Channnelの映像も一層品格を増し、和の雰囲気を感じさせる映像や実写を織りまぜた映像が何とも心地よい。映像と楽曲の世界観が混じりあい、会場中に広がっていくようだ。 ラストはお馴染みの「SUNRISING」で、会場中を大きなノリに包み込んだ。

ここでライブ終了…と思いきや、思わぬスペシャルゲストが登場。なんと上領亘がサポートドラムとして参加したのだ!不意をつかれてファンも嬉しい悲鳴。上領氏のクールでタイトなドラムが加わり、聞き慣れた楽曲がとても新鮮に聞こえる。それにしても、楽曲の元々の持ち味を壊さず、かつ自身の存在感を存分に放つことのできる上領氏のバランス感と柔軟性は見事としか言いようがない…。
いつもより少し長丁場だったVOMOSのステージだが、盛り沢山の内容が長さを感じさせずに、終始心地よいノリを与えてくれた。

LIVE:MIU(茂木みゆき)supported by 上領亘 / Visual Operator:Ueda Naoki

ここで、転換のため小休止。踊り続けだったオーディエンスもほっと一息といったところだろうか。
そして本日のSpecial Guest、MIUが登場。映像にはSTAINのVisual OperatorであるUedaNaoki。MIU自身が、この2人の共演を見て惚れ込み、依頼したというこのステージ、それぞれの個性がどのように絡んでいくのだろうか…?

紹介文に書かれた「天賦のドリーミーヴォイス」が示す通りの優しい歌声。繊細なサウンドに重なるクールなエレドラのリズム。モノクロを基調とした、スタイリッシュで少しコケティッシュなNaokiの映像…。今迄の雰囲気とは一転した穏やかな空気が、踊りすぎて少し疲れた身体を、ゆっくりと包んで癒していくようだ。

しかしラストの曲で、トラックが止まってしまうというトラブルが発生 !? エレドラの不具合が原因らしいのだが、紳士的に謝る上領氏の姿にその場の空気がなごみ、ライブもすぐさま再開された。その後トラブルなどなかったかのように、あっという間にオーディエンスを楽曲の世界に引き込んでしまった。

初共演とはとても思えない、3者のもつ個性が見事に響き合ったステージ。それぞれの良さがお互いを高めあう、希有な“出逢い”の場に立ち会えたことを幸せに思えるようなライブだった。 今後の展開が楽しみである。

Performance:shady ears

会場中が、何とも清浄な心地よい空気に包まれたところで、女性2人のパフォーマンスユニットshady earsの映像が流れる。
映像コラージュと反復が繰り返されるコミカルなムーヴィー。駅のまん中でくまさんの衣装をつけて踊る二人がキュートで、普通に通り過ぎるの通行人とのアンバランスがどこか可笑しい、POPな映像作品だった。 そして映像が終わるとともに、パフォーマンスが始まった。
機材を取り払ってすっきりと広くなったステージに、シンプルな白い衣装を着けたshady earsの二人が現れる。日常の様々な動作が、なめらかに次々と繋がって行くパフォーマンス。ときに離れ、ときにシンクロする二人の動きは、まるでステージ上を流れる2本の曲線をなぞるようで美しい。オーディエンスも、しばし息を詰めてステージを見つめていた。
 

映像作品、パフォーマンス、そしてバックに流れる映像と、沢山の内容を盛り込んだひとときだった。見るべき所が多かったせいか、視点をどこに定めてよいか分からない部分もあったが、それぞれに工夫がこらされていて楽しかった。この沢山の要素が上手く融合したら、より伝わるものも深く、広くなっていくに違い無い。

欲を言えば、冒頭の映像にパフォーマンスと関連性があった方が、全体を通して印象強くなったのではないか、とも思う。ただ、こういう映像作品的なものが流れる事も、今迄のLINKに無かった要素なのでとても興味深かった。「観る」ことを主にした部分が入るのはまた面白いかもしれない…。

LIVE:soyuz project / VJ:山口淳二

そして、トリはsoyuz project。たどたどしいロボットボイスの「コンニチハ soyuz projectデス…」のナレーションに続き始まったライブは、しばし休息した会場を一気にノリノリに変えてしまった。 文句なしにハイクオリティなサウンド。ビートとはこういうものなんだ!と身体で感じることができるような楽曲の数々に、我を忘れて踊り続けてしまう。ビートに身をゆだねる心地よさ、soyuzのライブにはそれが存分に詰まっている。 PC画面を思わせるドット絵的な映像も、遊び心たっぷりで、その楽しさに一層拍車をかける。

そして今回のライブでは、福間氏のギターとヴォーカルがかなり重要な位置を占め、以前よりもアッパーかつキャッチーになったステージとサウンドで魅せてくれた。これは、マニアックな音好きやエレクトリックミュージックのファンだけでなく、より広いリスナーを確実に射程範囲に捉え始めたのではないだろうか?そんなことを思ってしまうほどオープンなステージだった。今夜の締めくくりにふさわしい最高のステージに、オーディエンスも、存分に満足感に浸っているようだった。

終わってみれば、とにかく「最高」の言葉が出て来そうな今回のLINK。そのメインコンセプトである「音、映像、人のリンク」。それが本当に強くはっきりと感じられるひとときだった。 なによりも印象的だったのが、オーディエンスもアーティストも共に、心からこの空間を楽しんでいる姿。 全体的な流れのスムーズさに加えて、絶妙な緩急の入れ代わり。踊り過ぎてくたくたになってしまった人も、きっと心地よい疲れとイベントの余韻を持って、帰途につくことができたのではないだろうか?  さて、次回のLINKは2周年のお祭り!またも豪華メンバーの響宴が見られるらしい。確実に押し寄せてきているこの波に乗り遅れないよう、是非この“快浴空間”を体感しに来て欲しい。
2003.5.24(sat)
Ebisu Guilty
organized by VOMOS
thanks to.... all staff  all audience

text:F

おまけ>
「LINK Vol.8写真館」
こちらのレポートページにはのせ切れなかった写真を大公開!
「DJプレイリスト」